きみのもしもし #302
一週間からそこら連絡がないと思っていたら、
きみはまたぼくの知らない間に旅行へ行ってきたようだ。
まぁ毎年のことかな。
そう言えば数週間前にカメラとレンズを貸したんだっけ。
ーこのデジカメ使ってる?
ー使い勝手いい?
ーどのレンズがこのカメラと相性いいかなぁ。
きみとのそんなやりとりを思い出した。
きみはタブレットにダウンロードした旅の思い出をぼくに見せる。
最近のぼくの指向と違って、きみは存分にカラーを楽しんだようだ。
旅先々でとらえたカラフルな色が、きみの旅の楽しさを物語っている。
「もしもし、どう?」
ちょっと自慢げにぼくを覗き込むきみがいる。
「とってもいいよ」
「でしょ、でしょ、でしょ。次はさ、一緒に行こっ」
毎回無計画に旅立つきみから聞かされる言葉に、ぼくは苦笑いで頷いた。
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