きみのもしもし #307
きみの寝息を聞きながら、ベッドから抜け出る。
窓を開けると少しだけ肌寒い風がゆっくりと入り込んでくる。
もうTシャツと短パンでは心もとない。
シャツを羽織り、ズボンをはく。靴下も。
まだバスの音も聞こえてこず、裏山の鳥のさえずりが耳に届く。
Macを静かに立ち上げると、溜まっていたネット上の用事に着手する。
どのくらい集中していたのだろう。
ふと、となりの部屋から声が聞こえる。
「どうしたのかな」
隣の部屋に戻り、小さな声をかけてみる。
返事はない。まだ夢の中かな。
むにゃむにゃと口元を動かすきみ。食事の夢でも見ているのだろうか。
「Macに戻るよ」
きみはまたむにゃむにゃとしている。
夢の中できみは「もしもし」と誰かに言っているのかな。
日曜日、午前6時半の朝、ぼくはきみの寝顔を覗いている。
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