きみのもしもし #308
「もしもし、起きてますかぁ」
「もしもし、珈琲飲みますかぁ」
ほぼ10分置きにきみが声をかけてくる。
そんなに心配しなくても、まだまだ大丈夫だよ。
ぼくはその都度「さんきゅ」と答える。
この先渋滞52Km。高速道路の電光掲示板がいっこうに減らない距離数を知らせてくれる。
ーおっと、急にブレーキをかけないでくれよ。
ーおいおい、割り込むんでもウインカーは出してくれよ。
そんなことを言いたくなる車が2台続いた。
「もしもし、フリスクはどうですかぁ」
きみは察知したのかな。
確かにブレーキを踏み込むタイミングがワンテンポ遅れたかも。
それでもぼくはまた「さんきゅ」と答えた。
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