きみのもしもし #309
テレビも点けず、ラジオも点けず、音楽さえも鳴らさない。
雨音と風の音に耳を傾け、それでもそれなりに明るい空をぼーと見ている。
右手には入れたばかりの珈琲を持ち、香りと味を確かめながら。
ちょっと濃かったかな。一口めはそんな気がした。
二口め。味に慣れたのか、まんざらでもない気がしてくる。
でも、やっぱりきみの入れる珈琲にはかなわないな。
香りを確かめながらそう思った。
秋の早朝、秋雨も重なり今朝はかなり肌寒い。
そう、あっつい珈琲がとても恋しい季節になったんだ。
ーもしもっし。こんな季節の美味しい珈琲はこうやって入れるんだよ。
きみの自慢げな顔が窓ガラスに浮かんだ気がした。
コメントを残す