風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #311

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 珈琲豆を入れた缶のふたが開かない。
 力任せにやったら、勢い余って中の豆をばらまいてしまった。あらら。
 気を取り直して、洗いざらしのデニムのシャツに袖を通してみる。
 少しだけ洗剤の香りもして、ちょっとだけにんまり。
 入れたての珈琲を横に起き、きみにメールしようとMacを立ち上げると、
 eBayから「あなたの興味はこれですか」と商品画像が列挙される。
 確かにそれだ。希望には完璧に合致はしないけど、それを補うには余りあるデザイン。
 つい「Buy It Now」を押してしまう。
 そして、傍らの珈琲を一口すすり、きみのスマホに向けた送信ボタンを押す。
ーもしもし、朝から何やってるの?
 雲の取れてきた空を見ながらぼーっとしてます。
ーあら、いいわね。でも、ぼーっとしておっちょこちょいなことやらないように。
 ・・・。
ーもしもし?わかったぁ?
 きみはそばにいなくてもまったくすべてお見通しなのかな。
 珈琲カップの先に床に転がっている珈琲豆が目に入った。

Written by ken1

2013/11/03 @ 10:46

カテゴリー: kiss

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