きみのもしもし #312
朝晩がそれなりに肌寒くなってきたと思っていたら、
今日は昼間から身体の芯が冷える。
「こんなときはわたしの珈琲でしょ。あっついの入れたげる」
きみはキッチンに立ち、グラインダーで豆を挽きだす。
挽かれた豆のいい香りが、こっちの部屋まで香ってくる。
ぼくは香りに魅かれるようにキッチンに足を踏み入れ、
きみを背中から抱きしめた。
「珈琲、まだかな」
「もしもし、珈琲よりほんとはわたしの人肌が恋しいんじゃないのぉ」
きみはいたずらっぽい笑顔で振り返った。
talk to myself
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