Archive for 11月 24th, 2013
きみのもしもし #314
「ねぇ、何時?」
自分の腕時計に目をやり、きみに答える。
そのとき、きみも腕時計をしていることに気がついた。
「ん?これ?」
時計は止まっていた。電池切れだと言う。切れているのは知っていてその腕時計を付けているらしい。
「ブレスレットの色とね、合う時計がこれしかなかったの。黒いブレスレットに黒い文字盤のこの時計。時計自体も小さいし、止まっていること誰も気づかないでしょう」
確かに、言われてみなければ止まっているなんて分からない。コーディネートは重要ってことだね。
「もしもーし、それにね、時間はあなたに任せておけば大丈夫でしょ」
きみはゆっくり頷いた。
そんなに時間を頼られてもなぁ、
ぼくは苦笑いをしながら頷いた。