きみのもしもし #315
きみがここに現れるまでの時間、ぼくは珈琲を片手に雑誌に目を通す。
今日のような小春日和の日は、店先の陽の当たるテーブルがちょうどよい暖かさだ。
そして、
ーちょっと待っててね。
と送られてくるきみからのLINEを、楽しんでいるぼくもいる。
さてと次はどのレンズにしようかな。
雑誌には全ページ、うらやましいばかりのレンズが並んでいる。
この中から次の1本を選ぶのか、選ばないのか。
完全に雑誌のレンズ特集に没頭してしまう。
「もしもーしっ」
あーびっくりした。
突然後ろから声をかけられたぼくは飛び上がるほど驚いた。
「なにそんなに熱中してるんだか」
あきれ顔のきみの目は笑っている。
「珈琲、冷めちゃったよ」
「もう一杯頼めばいいでしょ。あっわたしのもね」
さてと雑誌は仕舞うことにしよう。
ここからはきみとの時間だものね。
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