きみのもしもし #316
「気の合う仲間との飲み会は楽しいよね」
昼前にきみはやってきて、ぼくのベッドサイドに腰掛ける。
「でもね、そろそろ起きましょう」
「楽しくて、時間忘れて、帰ってくるの遅くなったんだろうけどさ」
「もうお昼だし」
「でもね、メール1本くれてもいいと思うんだよね」
「メールが面倒だったら、LINEでもいいし。スタンプだったら簡単じゃん」
「わたしも少しは心配するわけだし」
「でもね、拘束してるわけじゃないのよ」
「昨夜のみんなのことはよく知ってるし」
「わたしもたまには顔だしてるし」
「でもね、わたしが参加しないときに限って遅くない?」
ぼくはまだ眠たくて、ベッドの中でもぞもぞと動く。
「もしもーし、聞こえてますか。もしもーし、聞いてますか」
「もしもし、珈琲入ってるよ。冷めちゃうよ」
ぼくは珈琲という単語にぴくんとしたけど、まだもぞもぞとしている。
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