きみのもしもし #317
ー帰ってくるまではどうってことないんだけどね。
そう、部屋に入ってスーツを脱いだとたんに疲れを感じてしまう。
ー外だと気が張ってるんじゃない。
そんな柄でもないはずなんだが。
ーきっとそうよ。知らず知らずのうちに肩に力が入っているのかもね。
そう言われれば、思い当たる節がないわけでもない。
ーそんなときはね。
なんだろう。
ーそんなときは、部屋を暖かくして、珈琲入れて、そうあなたのことだからカメラでも触ってみてよ。きっと元気になれるわよ。
Facetimeの向こう側できみが優しく微笑んでいる。
ーもしもし。
はいはい。
ーそして今夜はわたしの手料理にしてあげましょう。いいでしょ。
おっいいねぇ。
珈琲もカメラもそしてきみの手料理もいいけれど、やっぱりきみのその表情がいちばんいいな、元気がでるな。
Facetimeのきみを見ながら、ぼくはそう思った。
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