風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #318

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 ワムとマライアキャリーのクリスマスソングが街のいたるところで流れている。
 ぼくもふとした瞬間に達郎を口ずさんでいたり。
 今年もまたそんな季節だ。
「今年はね、わたしの部屋でクリスマスしょっ」
 なんでも、部屋を模様替えしたと言う。
 本棚の位置を変え、ベッドは窓側へ。
 いつの間にそんなことをやったんだろう。
 そんなそぶりをきみはまったく見せなかった。
「ちょっとしたクリスマスサプライズかな」
 けっこうな労力がいるだろうに、きみはさらりとそう言って退けた。
「んーっ、少しだけ筋肉痛かな。だからね」
 せっかく模様替したんだから、ごちゃごちゃ言わずに見に来なさいとでも言うように、
 きみはちょっとだけ強引にぼくを誘う。
「もしもし、プレゼントは忘れずに」
 そう付け加えるのも忘れない。
 了解、もちろん忘れちゃいないけどさ。
 けど、毎年迷うんだよね、きみへのプレゼント。
 それは飲み込んで、ぼくは「大丈夫だよ」と大きく頷いてみせる。

Written by ken1

2013/12/22 @ 18:21

カテゴリー: kiss

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