きみのもしもし #319
雲一つない今日の空。
キンと冷たい空気の中、暖かい日射しがベランダに降り注ぐ。
室内のグリーンを外に出し、水をたっぷりとかけてやる。
常緑の葉っぱは輝きを増し、緑を一層濃く見せる。
ーどれ、ついでに窓ガラスでも磨くかな。
調子に乗ってやり始めたのはいいが、開け放した窓から入ってくる空気はやはりキンと冷たい。
ーきみは今どこにいるのだろう。
曇り一つなくなったガラス越しに薄い青空を見ながら、気になった。
「もしもーし、わたし年末年始いないからね」
昨夜の電話できみは突然そう言った。
ーあれ?初詣は?
「うーん、ごめんね、わたしの分まで初詣よろしくお願いっ」
ーってことはお賽銭2倍に、おみくじふたつかな。
「ははっ、それいいかも」
そして、きみは今年もふらりと小旅行に出かけた。
まぁきみが楽しんで来れれば、それが一番。
こうして今年もひとり静かなぼくの正月休みが始まった。
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