きみのもしもし #323
「雨の中でのわたしを撮ってよ」
どきっとするようなことを言う。
少なくともぼくはきみのその誘いに少しばかりまごついた。
雨の日の独特な湿度。数値としての湿度以上の何か。
その湿度に包まれたきみの素肌もいつもと違って、きっともっと艶があるんだろうね。
さて、どのレンズとボディを組み合わせるのがベストなんだろう。
雨の日の撮影は、晴れの日と違ったいろんな要素を考えてしまう。
「もしもし、そこのきみ。明日は雨だって天気予報が言ってるよ」
そう言われても、並べ立てたレンズとボディ、なかなか組み合わせが決まらない。
その向こう側にきみはちょこんと座って、笑っている。
ぼくもきみにつられて笑ってしまう。
そうだね、気楽に撮ることにしよう。
すべては明日の雨次第、すべては明日の湿度次第ってね。
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