きみのもしもし #324
カフェでエスプレッソをダブルで注文した。
一口めに苦いっと感じつつも、そんな注文をする自分を楽しんでいた。
今日はフィルムカメラにコンパクトなレンズをつけている。
もう少しするときみも来るかな。お店に入ってくるところをこのレンズでとらえてみよう。
カメラを手に取り、シャッターを切る訳でもなく店内のいろんなところにピントを合わせてウォーミングアップ。
シャッタースピード、絞りもいろいろいじって変えてみる。
そしてまたエスプレッソを口に運ぶ。
やっぱ、苦いっ。
でもそんな顔もせず、またカメラを持ち上げる。
ーごめん、今日やっぱやめとく。
えっ。
きみからのメールでぼくは一瞬カメラのもって行きどころを失った。
ーもしもし、お願いがあるの。
なんだろう。とにかく、きみからのお願いは聞かないわけにはいかないし。
ーもしもし、あのね。
なるほど。
さてと風邪気味のきみにビタミンたっぷりの甘ぁい苺を持って行くことにしよう。
ぼくは少し冷めた苦ぁいエスプレッソを一気に飲み干した。やっぱ、にが。
風、空、きみ 
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