きみのもしもし #325
粉雪と言えども地表から舞ってくる雪がきみの髪を飾っていた。
ー一生懸命、傘差したんだよ。
きみは両肩、鞄にかかっている雪を懸命に払いのけようとしている。
ぼくは飲みかけの珈琲をテーブルに置いて、立ち上がる。
ここにもたくさん積もってるよ。
そう言ってきみの頭の雪をぽんぽんぽんと払ってみる。
ーもしもし。
何?
ーなんでもない。
えぇ?
ーんーっ。なんかさ。頭をぽんぽんされるのって、うれしいなって。
店内と外との温度差かな、きみの鼻先は赤くなっている。
何言ってんのかな。
ぼくはぼくでそんなことを言われると妙に照れてしまう。
珈琲頼む?
ーうぅん、ホットワインにする。寒かったもん。
了解。ぼくもそうしよう。
きみは自分でも頭の雪を払い、ぼくの前に腰掛けた。
外はまだ雪。まだまだ降り続くんだろうな。
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