きみのもしもし #328
桜餅が食べたいときみが言う。
それじゃあと、ふたりして電車に乗ってデパ地下に来てみた。
フロア一面、桃の節句色。
どのお店にも明日にちなんで趣向を凝らしたお菓子が並んでいる。
これかわいいね。あれも美味しそう。
そんなきみを横目にぼくは来週末のお返しのクッキーを探している。
でもまだデパ地下のターゲットは明日みたい。
おひな祭りが終わらないと次の商品も出揃わないんだろうな。
ちょっと苦笑いをしているぼくをきみは怪訝そうに覗き込む。
ーもしもし、退屈?
そんなことはないよとぼくは首を横に振る。
ーこれをね、買おうと思うの。
きみが指差した先にはとってもオーソドックスな桜餅が並んでいた。
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