風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #335

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 カフェで窓側に座った。
 窓と言うより歩道に面したガラス側。ガラスは足下から天井まで延びている。
 薄い雲を通しての、少し柔らかめの光線がガラス越しにテーブルにかかる。
 隣りのカップルが春の連ドラの話をしているのが、何気に耳に入る。
 左向かいの彼女には、まさに今、彼氏らしき男性がそそくさと前に座る。
 ぼくは頼んだ珈琲を口に運びながら、ふと思う。
 ホットで注文した珈琲は冷めないうちに飲むのが美味しいはず。
 それなのにみんなそれ以上の長居をしている。
 正面の彼女たちはきっと珈琲なんてとうの昔に飲み干しているに違いない。
 それなのにいつまでそこにいるんだろう。
 隣りのカップルも左向かいの彼女もそう。
 と言う事は、ぼくもそうするのか。そうなるのか。
 でも、ぬるくなった珈琲はごめんだな。
 そう思って、また珈琲を口に運ぶ。うん、まだ大丈夫。まだいける。
 あと何口飲むと飲み干すんだろう。冷めないうちに飲み干したいな。
 でもそれまでにきみは来てくれるかな。
 
 柔らかめの光線が突然さえぎられた。
 ガラスをはさんだところに、きみが立っていた。
 口パクで「もしもし、もしもし」と言っている。
 ちょうどぼくの珈琲もなくなったところだ。
ーぼくが店を出るよ。
 ぼくのジェスチャーにきみは大きく頷いた。

Written by ken1

2014/04/20 @ 00:22

カテゴリー: kiss

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