風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #337

leave a comment »

 久しぶりにきみとバーでグラスを傾ける。
 あまりに久しぶりすぎて、何から話していいのか躊躇してしまう。
 昼間のカフェだとこんな緊張もないのにね。
 ふたりして顔を見合わせ照れ笑い。
 ふたり並んだカウンターから見えるボトルの列を、1本ずつ簡単に紹介してみることにした。
 そうしているうちに緊張も解けるだろうし、話題も飛び火することだろう。
 それを期待し、そしてその期待は当たる。
 グラスがゆっくりと3杯めにかかるころには、酔いも手伝い話題はたくさん飛び火した。
 飛び火はいいのだけど、つい今しがたの話題を即座に思い返せない。
 それも話題の一つになって、きみとのお酒がまた進む。
「そろそろ終電かな」
「も少しだけ時間あるよ」
「じゃ裏通りを少し散歩して酔いをさまそうか」
「もしもし」
「ん」
「裏通りで襲ったりしないでね」
 何を言いだすかと思えば、そうきましたか。
「それもいいかもね」
「うん、それもいいよ」
 それなのにこれが最後とまたお代わりをするぼくら。
 終電だいじょうぶかなぁ。

Written by ken1

2014/05/06 @ 16:32

カテゴリー: kiss

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。