きみのもしもし #341
本を読んでいた。
部屋の窓を開け、ベッドに横たわり、タオルケットを軽くお腹に掛け、
読みかけの本を読んでいた。
何時間前から読んでいたんだろう。
気がつくと僕の両手は本を持ったまま、胸の上にあった。
ーもしもし、どうしたの?
ん、ちょっと熱っぽくてさ。窓開けて本読んでた。
そんなのだめだよ、ときみが顔を横に振る。
そっかぁ、だめかぁ。素直にきみの言う事を聞こうと思った。
次に目が覚めると、窓は閉まっていた。
でもカーテンだけは開いたまま。
きみの姿はないし、来た形跡もなんとなく感じられない。
きみが来てたのは夢だったのかなぁ。
「さぁ、どうでしょうね」
ぼくは不思議な気分できみに電話してみた。
「でも、まだ鼻声だよ」
「明日は会うんだからがんばって治しといてね」
了解。
水分を補給しようと冷蔵庫を開けると、
そこにはきみの手作りの夕食が入っていた。
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