Archive for 8月 2014
DANS LA MAISON
危険なプロット。「8人の女たち」「スイミング・プール」のフランソワ・オゾンの作品です。サスペンスものに分類されているようですが、サスペンスというよりも先生と生徒の心理戦かなぁ。最後は観ている方がどこまでが真実でどこまでがイマジネーションなのか、分からなくなります。それともそもそもこのストーリー自体が偽りの世界なのか。傑作に必要なもの、それは「刺激的な設定」「よめない展開」そして「意外な結末」と言う事で引き込まれます、楽しめます。
きみのもしもし #354
「やっぱりこのシャッター音が好きなんだなぁ。
この音を聞くとなんか心が落ち着くんだよね」
「わたしはね、現像から上がるまでの待ち時間が好きなの。
ちゃんと写ってるかなぁってちょっと心配しながら待つドキドキ感が大好き」
今日、きみとぼくは久しぶりに銀塩カメラを手にもって、
街の風景、きみの横顔、ぼくの正面を撮りまくっている。
ほんと久しぶりのふたりしてのお散歩カメラ。
「出来上がりってどうなってるかなぁ」
近くの写真屋さんの現像を待つ間、きみの部屋で珈琲を口にする。
やっぱりきみのいれる珈琲は美味しい。
「きみと一緒に歩いた思い出が時系列で並ぶんだよ」
「もしもし、どうしたの。急に思い出だなんてさ」
「うん、今まで意識したことなかったからね」
「もしもし、だからどうしたの、急に」
「なんか幸せだなってさ、なんとなく」
「ふーん」
きみはまんざらでもなさそうにぼくのM3を手に取った。
ROBOCOP
ロボコップ。1987年作品のリメークなんでしょうが、以前の作品にあった哀愁感漂うもの悲しさがありません。今回はみなさん合意の上でのロボコップ。やっぱ以前の作品に軍配を上げちゃいますね。期待していたのになぁ。
きみのもしもし #353
今朝は蝉の音が聞こえない。
先週までは窓から見える木々の中から聞こえていたはずなのに。
聞こえていた蝉の音も、今日思うに、幼い頃の蝉の音よりも密度が低く思える。
もっともっと、そうだな、アニメで言うなら超音波攻撃をこれでもかと浴びせかけられていたような、
そんな気がする。
ここがそうであっても、田舎の実家はどうなんだろう。
まだまだ蝉は力強く、そして絞り出すように鳴いているのだろうか。そうあって欲しい。
ーお盆すぎたんだから、そんなものじゃないの。と、きみ。
ーまだまだ今月一杯は蝉の季節だよ。と、ぼく。
ー公園に行ってみましょうよ。近くの神社でもいいよ。きっとまだ蝉は鳴いているから。
そうか、そうだね、行ってみようか。
ーもしもし、これデートだからね。
主役は蝉じゃなく、自分なのよときみはさらりと言っている。
そうだね、蝉の音を聞いて木陰で涼んで、川沿いまで歩いて、カフェ行って。
途中で夏姿のきみをカメラに収めよう。
うん、そうしよう。
ーうちわ持って行くから。アイスキャンディー買って来て。遅刻しないでね。
きみのその言葉を聞いて、根拠もないけどなんとなくきみの浴衣姿を想像した。
それだとうれしいかも。
ぼくは持って行くカメラの選定に入った。