きみのもしもし #354
「やっぱりこのシャッター音が好きなんだなぁ。
この音を聞くとなんか心が落ち着くんだよね」
「わたしはね、現像から上がるまでの待ち時間が好きなの。
ちゃんと写ってるかなぁってちょっと心配しながら待つドキドキ感が大好き」
今日、きみとぼくは久しぶりに銀塩カメラを手にもって、
街の風景、きみの横顔、ぼくの正面を撮りまくっている。
ほんと久しぶりのふたりしてのお散歩カメラ。
「出来上がりってどうなってるかなぁ」
近くの写真屋さんの現像を待つ間、きみの部屋で珈琲を口にする。
やっぱりきみのいれる珈琲は美味しい。
「きみと一緒に歩いた思い出が時系列で並ぶんだよ」
「もしもし、どうしたの。急に思い出だなんてさ」
「うん、今まで意識したことなかったからね」
「もしもし、だからどうしたの、急に」
「なんか幸せだなってさ、なんとなく」
「ふーん」
きみはまんざらでもなさそうにぼくのM3を手に取った。
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