Archive for 9月 2014
きみのもしもし #358
秋空のもと、きみはジョギングをしてきたと言う。
ー公園内のジョギングロードなんだけどね。
とても健やかな感じになれたと、
とても壮快だったと、
でものんびり走ったと。
ーだからね、次は一緒に走ろうよ。
きみはどこかのフルマラソンにでも参加したいかのごとく、言葉を続ける。
ーそうね、ちゃんと練習してフルマラソンの距離走れるなっと思ったら。
少し言葉をためて、きみは続けた。
ーホノルルマラソンかしら。ねっ。
今年かな、来年かな。
ーもしもし、ご一緒にいかがかしらん。
ぼくが走るの苦手だって知ってて、きみは言う。
ほんと今日のジョギング、楽しかったんだね。
きみのもしもし #357
疲れていると見て取れたのだろう。きみがハイキングに行こうと誘って来た。
「こんなとき山歩きは少し無茶かも知れないけれど、ハイキングくらいだったら大丈夫」
ナップサックには水とお菓子とお財布と。
足元だけはちゃんとした山歩きの靴にして、服装はカジュアルな軽装で。
もちろん帽子も忘れずに。
平坦な裏山をゆっくり歩いて2時間半。
まだ残る蝉の鳴き声、枝を渡り歩くリスの大きな尾っぽ。
小道には木洩れ陽が光と影のコントラストを生み出していた。
そして、街並に戻ると裏通りの古民家カフェでくつろいだ。
あれから一週間、また疲れが見て取れるのか。
ーもしもし、お散歩してきなよ。
そうだね、今日はひとりで街歩きでもしてこよう。
肩掛けカバンにカメラを入れて。
今週も見上げると青空。
うん、気分も晴れそうだ。
Night Train to Lisbon
リスボンに誘われて。Bunkamura25周年記念上映作品です。今日、朝一の会を目論んで行ったらすでに満席。午後一の会のチケットを購入したけどすでにほぼ埋まっていて前から2列目一番端。まっ予約できたらいっか。欧州のスターキャストで、世界的ベストセラーを映画化。1行目で心が動き、2ページ目で列車に飛び乗り、3章目で人生が変わった。とのキャッチコピー。ページをめくるたび人生が色鮮やかに輝いて行く。彼らは本物の人生を生きた。それにひきかえ私は。魂の旅路の果て、本物の人生が見えてくる。若い頃には死なないと思っている。リボンで首をゆっくり締められるように残りの時間は無くなって行く。すべてを投げ出して、どこか遠くへ行き、別の人生を始めてみたいと思ったことはありませんか。上質な映画でした。お薦めします。