Archive for 12月 2014
きみのもしもし #370
そして今年も終わる。
テレビでは粋な女優さんが「ごきげんなお食事処をみつけました」と
なかなか気になる言い回しを口にする。
国民的ポップバンドは「喜びを誰かと分かち合うのが人生さ」と
うんちくめいた歌詞をぼくに伝える。
さて、ぼくは今年きみをどれだけ笑顔にしてあげられたのかな。
きみを笑顔にした回数をはるかに超えて、
きみからぼくが笑顔にしてもらえたんだろうな。
回数もそうだけど、回数以上にタイミングかも知れない。
きみはいつも絶妙なタイミングでぼくを覗き込む。
そのタイミングはきみ独特なのかな。
ねぇ、来年、きみはどこにいるのだろう。
そう、来年、ぼくはどこにいくのだろう。
ーもしもし、あなたがどこにいっても、わたしはいつもそばにいるよ。
映画みたいな台詞だね。
来年もきみと美味しいものが食べたいな。
来年もきみと一緒に笑っていたいな。
残り少ない今年の時間。
もうひとつくらい思い出を作ろうか。
うん、そうしよう。
そうしよう。
きみのもしもし #369
いつ以来だろうか。
きみとふたりでバーにいる。もちろんカウンター。
そして、それも週末のこんな時間。
すでにさっきのお店でほろ酔い加減のきみは、
何か話題が変わるたびに、ぼくの右腕をつつく。
「もしもし、それいいじゃん」
「もしもし、何考えてるの?」
「もしもし、素直に喜びなさい」
都度都度つつく必要もないし、
都度都度いつもの言葉を出す必要もないのにね。
でもきみの目尻は下がり、少しだけシワができる。
もちろん口角は上がり、ほっぺたまで楽しそうに笑っている。
そろそろ終電かなってタイミングで、きみはぼくを覗き込んできた。
「なにかな?」
「もしもし、何でしょう?」
それはぼくのセリフのはずだけど。
「おかわりっ」
時間は関係ないみたいだね。
「もう一杯だけ。ね、ちょうだい」
明るい酔っ払いは、それはそれでいいっか。
ぼくの好きなドライマティーニのオンザロック。
きみの口にも合ったようだし。
寄生獣
寄生獣。先週平日午前の部で渋谷に観に行った。座席の左右に人はいないのんびり観れた。劇場内は女子学生ばっかりだった。客層に対しなんか不思議な感じがした。で、やはりわたしこの作品好きです。もちろん当時からコミックは全巻持っていて、ハリウッドに版権買われたときはとても残念でしたが、やっと邦画として作られて、上手に作られていると思いました。ほー、母子家庭の設定ですか。それはそれは涙を誘いますね。そしてVFXのミギィ、技術がやっとミギィを作れるようになりましたね。よかったよかった。「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」の山崎貴監督が前後編の2部作で実写映画化してますので、来年4/25公開の後編も楽しみです。
きみのもしもし #368
「夜にすこーしだけ遠出しない?」
「どこまで行くの?」
「昼間は知ってても、夜だと知らない、そんなところ」
ちょっとそそられる、その言い回し。
最近は週末の夜に出歩くことがめっきり減っている。
学生の頃は夜によく出歩いていたなと思う。まぁあの頃は曜日なんて存在しなかったか。
たまに、そうだね、そんなワクワクがあってもいいよね。
「お目当の店とかあるのかな」
「あるけど、予約なんかはいいの」
「せっかくだったら予約すればいいのに」
「入れればいいなって感じがいいのよ」
「入れなかったら?」
「そのときはそのときで、ふらふらしましょっ」
それもまた楽しいね。
ところでどこに行くのだろう。
「ねぇ、ところで」
「もしもし。あなたは何も聞かない。わたしは何も言わない」
そしてきみはぼくに待ち合わせの場所と時間を告げた。
ミステリアスな週末の夜の始まり始まり。