きみのもしもし #368
「夜にすこーしだけ遠出しない?」
「どこまで行くの?」
「昼間は知ってても、夜だと知らない、そんなところ」
ちょっとそそられる、その言い回し。
最近は週末の夜に出歩くことがめっきり減っている。
学生の頃は夜によく出歩いていたなと思う。まぁあの頃は曜日なんて存在しなかったか。
たまに、そうだね、そんなワクワクがあってもいいよね。
「お目当の店とかあるのかな」
「あるけど、予約なんかはいいの」
「せっかくだったら予約すればいいのに」
「入れればいいなって感じがいいのよ」
「入れなかったら?」
「そのときはそのときで、ふらふらしましょっ」
それもまた楽しいね。
ところでどこに行くのだろう。
「ねぇ、ところで」
「もしもし。あなたは何も聞かない。わたしは何も言わない」
そしてきみはぼくに待ち合わせの場所と時間を告げた。
ミステリアスな週末の夜の始まり始まり。
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