風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #369

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 いつ以来だろうか。
 きみとふたりでバーにいる。もちろんカウンター。
 そして、それも週末のこんな時間。
 すでにさっきのお店でほろ酔い加減のきみは、
 何か話題が変わるたびに、ぼくの右腕をつつく。
「もしもし、それいいじゃん」
「もしもし、何考えてるの?」
「もしもし、素直に喜びなさい」
 都度都度つつく必要もないし、
 都度都度いつもの言葉を出す必要もないのにね。
 でもきみの目尻は下がり、少しだけシワができる。
 もちろん口角は上がり、ほっぺたまで楽しそうに笑っている。
 そろそろ終電かなってタイミングで、きみはぼくを覗き込んできた。
「なにかな?」
「もしもし、何でしょう?」
 それはぼくのセリフのはずだけど。
「おかわりっ」
 時間は関係ないみたいだね。
「もう一杯だけ。ね、ちょうだい」
 明るい酔っ払いは、それはそれでいいっか。
 ぼくの好きなドライマティーニのオンザロック。
 きみの口にも合ったようだし。

Written by ken1

2014/12/21 @ 23:57

カテゴリー: kiss

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