きみのもしもし #377
チョコが宅配便で届く。
見知らぬ差出人。
ここの住所を知っている、と言うことは、
ぼくがこのひとを思い出せないだけなのか。
現実感のない不思議な感覚に包まれたまま、箱を開く。
中にはメッセージカードが入っていた。
ー本命の人ができるまで、チョコを贈っても良いですか。
読みようによっては、意味深すぎるメッセージ。
贈ってもよいかと尋ねながら、すでに送ってきているし。
頭がクラクラし、たどろうとする記憶も心もとない。
「もしもーし。どなたですか、その方は?」
ぼくの代わりに宅配便のお兄さんに捺印したきみが覗き込む。
「うーん、わからない」
「そんなこと、ないでしょ」
きみは冷ややかな笑みを浮かべている。
「ちゃんと思い出してあげなさい。失礼よ」
そう言われてもなぁ。
もっとわかりやすいメッセージにしてくれないかなぁ。
バレンタインのちょっとした?ハプニング。
さてと、どうしたものかしらん。
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