きみのもしもし #378
ーもっと話したかったのに。
きみのその言葉がずっと頭から離れない。
馴染みのお店できみに偶然会って、
こんなこともあるんだねと、カウンターに並んで座ってみたぼくら。
お店の雰囲気に包まれたまま、
常連さんたちとの会話も弾み、
ワインボトルは2本ほど空けた。
そして、ぼくらは店を後にする。
暖まったほっぺに2月の夜風が心地よく、
ぼくは楽しい夜を過ごせたなと思っていた。
ーもしもし、今度はデートをしませんか。
繋いでいた手をきみは少し強く握りしめ、
白い息をぼくに吐きかける。
はい、よろこんで。と、ぼくも少し強く握り返す。
ーデートなんだからもっとたくさんお話しするのよ。
きみの鼻先はほんのり赤い。
そうだね、次はもっと話をしよう。
もっともっと話をしよう。
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