きみのもしもし #383
きみに腕を組まれたのは何年ぶりだろう。
夜桜を見た帰り、ほろよい気分のきみはぎゅっと腕を組んできた。
ぼくは振り返りもせず、きみが組んできたぼくの右腕の脇を締める。
そうすることで、きみの腕の感触が確かなものになる気がした。
そしてふたりしてふらふらと坂道を登る。
たまには腕を組むのもいいかも。
きみの髪の香りを感じつつ、そう思った。
「もしもし」
「なにかな」
「変なこと考えてないでしょうね」
きみが意味深に笑っている。
夜桜と満月。
さてとどうしましょうかね。
コメントを残す