きみのもしもし #387
そそくさとクローゼットから夏物のシャツを取り出す。
テーブルでiPadと格闘をしているきみが、ちらりとぼくを見て言った。
「やっと衣の入れ替えをするのね」
今月に入って何回言われたのだろう。
なので、あえてきみが来ている今日を衣替えの日にしてみた。
iPadで調べ物をしているきみの前を通るように、
それなりの枚数のシャツを隣の部屋へ運び込む。
洗濯済みの厚手のシャツとの入れ替え。
これからの季節の薄手の長袖シャツに半袖のシャツ、
こんなにもあったっけと毎年のように思う。
それも似たような柄と色ばかり。
「もしもし、まさかそのまま着ないわよね」
きみが陰干しをするようにと言う。
そっか、確かにね。
これだからまったく、とそんな表情でiPadから手を離し、
きみはぼくからシャツを取り上げる。
暑いくらいの今日の陽射し、
さらりと干すにはちょうどよいかな。
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