きみのもしもし #393
やっと梅雨入り宣言が出そうだというのに、夏休みの予定はもう立てないといけない。
遠いどこかに行くのであれば、予定を立てるイコール様々な予約を申し込むことすら必要になる。
費用の問題だけではなく、乗りたいフライト、泊まってみたいホテル、観たい演劇と様々。
「今年はどうする?」と、きみ。
「今年も別々でしょ」と、ぼく。
ただでさえ仕事の調整が大変なうえに、ふたりの休みを合わせるのは至難の技。
ほんとは毎回思い出を重ねていくのが一番いいんだろうけどね。
ふたりともそんなことは分かっているけど、だけどやっぱり別々にすごす夏休み。
きみは東の方に行きたいと思い、ぼくは西の方に興味がある。
「もしもし、今回も旅の様子はちゃんと話して聞かせてね」
そう、ふたり別々のところに行って、旅の様子をきちんと共有すれば、
それはそれで二重に楽しめるんじゃないかなと、ずっとまえにきみと話し合っていた。
「FaceTimeでつなごうか」
きみは首を横に振る。
「旅の思い出話を、あなたから聞くのが楽しいのよ」
そしてきみはぼくと共有する旅の予定を考え始めた。
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