きみのもしもし #394
めずらしくきみがぼくの撮った写真をほめる。
いつもストレートにほめてくれないきみなので、ぼくとしては嬉しいはずなのに、
嬉しい気持ちよりも照れくさい気持ちがぼくを包む。
「やっぱりのんびりできたんだね」
きみは写真をもう一度1枚目からめくりながら、
またときおりページを戻しながら、
ここはどこ?一緒に行ったことある?
と簡単な説明を求めてくる。
ぼくはきみが聞いてくる問いかけに、
その場のそのときの状況を加えて、
説明をする。
「もしもし、どうしてこんなふうにわたしを撮ってくれないのかなぁ」
きみは笑顔を浮かべ、今回撮った中から一枚の写真を指差した。
そうだね、その場の空気がこんな写真を撮らせてくれるのかもね。
次はご一緒しませんか。
今更ながらにきみを誘うぼく。
きみはにっこり笑って写真のページをめくった。
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