きみのもしもし #395
まぁ入れ違いとまでは言わないが、今度はきみが旅に出た。
昨夜のこと、
ー今夜のパーティー、行けなそうにないわ。
おや?どうしたのかな。
ーパッキングが終わってないのよね。
えっ?
ー言ってなかったと思うんだけど、フライトが明日の夜なの。
毎回この調子だから、今更慣れっこだけどさ。
ー行き先?な・い・しょ。無事着いたらLINEするから。
ーLINEがなかったら、そうねぇ、心配してて。ね。
そして、今。
そんな近場のはずもなく、当然まだLINEは入ってこない。
きみが降り立つその国との時差はどのくらいなんだろう。
そこまでに乗り継ぎはあるのかな。あるとするとその時間分も加算しなきゃ。
うーむ、さはてはいったいどこに飛んだのやら。
どこであれ、きみからのLINEの冒頭はきっと「もしもし」なんだろうな。
そんなことを思いつつ、先週きみが買ってきてくれた珈琲豆を挽くことにした。
すこしは気が紛れるか。
挽かれた豆の香ばしい香りがぼくを包む。
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