きみのもしもし #396
そうこうしているうちに、ぼくもまたひとっ飛びすることにした。
きみは順調に旅を続けているようだし、相変わらず予定は未定だと返信が来る。
きみの帰国を出迎えに空港まで車を走らせてもよいが、
それもなんだか一昔前のドラマのようで、正直躊躇している自分がいる。
それならばと、ぼくもまたこの部屋を空けることにした。
ーで、あなたはいつその部屋に戻ってくるの?
先月はきみの時間から7時間遅れていたぼくが、
今はきみの時間より13時間も進んでいる。
きみを中心に考えるとそういうことだ。
ー今以上にきみとの時差を複雑にする気もないから、
きみの時間とぼくの時間が同じになったら、
2時間で戻ってくるよ。
ーもしもし、時差をネタにわたしの帰国を聞き出そうったって、
まだ教えてあげないわよ。
うーむ、この手も無理だったか。
ーでも、明日ちょっと飛んでくるよ。なので今日はもう寝ることにする。
ーそうね、わたしはそろそろランチタイムだわ。
さてと、行きの飛行機は押さえたけれど、帰りの飛行機はどうしよう。
たまにはそんな旅も悪くはないか。
きみから送られてきた大きなハンバーガーを頬張るきみの写真。
明日、似たような写真を送り返してあげることにしよう。
コメントを残す