きみのもしもし #397
ぼくを乗せた空港へのバスが、途中聞き覚えのあるバス停に停車する。
そうか、ここはあの子の家の近所だな。
学生のときつきあっていた女の子の家の近くのバス停。
きっと今頃は品のよいお母さんになっているんだろうな。
バスに揺られながら、ぼくは想い出に苦笑いを浮かべる。
ーもしもし、懐かしい人にでも会いましたか?
空港からきみに送ったLINEにすぐさま返事がきた。
するどい勘だ。
ーそうじゃないけど、懐かしい想い出を思い出せたよ。
ーよかったわね。
あれ?レスポンスが早い。
ー珈琲入れててあげるから、早く早く。
え?てことは?
ーわたしもさっき戻ってきたのよ。
近所に遊びに行ってたようにさらりときみは言うけれど、そうじゃないでしょ。
ここでもぼくは苦笑い。
今日は苦笑いの連続だ。そんな日なのかなぁ。
コメントを残す