風、空、きみ

talk to myself

Archive for 8月 2015

きみのもしもし #402

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 珈琲を飲み終えたきみがソファに横になった。
 そしてぼくに手招きをする。
ーここ、ここ。
 指を指しているのは右足。
ーね、お願い。
 きみはたまにそうやって、マッサージを要求してくる。
 ターゲットは右足だけではなく、左足も。
 はい、もちろん、よろこんで。
 ぼくもソファーに移り、腰をすえる。
ーこうやって何かに触れていると、なんとなぁくほっとしない?
 触れているぼくも、触れられているきみも確かに安心するみたい。
ー1日会話ができなくてもさ、寝る前にこの時間があるだけでいいよね。
 ぼくは自分が微笑んでいることに気づく。
ーもしもし、そう思うでしょ。ねっ。
 そしてきみも微笑んでいる。

Written by ken1

2015/08/31 at 00:41

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #401

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 日中でも幾分涼しくなってきたので、夕方前からちょっと散歩に出ることにした。
 とくに目的も決めず、大通り沿いを避けて、住宅街を右に折れたり左に折れたり。
 そして、途中の公園で日陰のベンチに腰掛け、きみにLINEを送った。
ー楽しそうだね。こんな日のカバンの中身は何なの?
 Kindleとカメラと水。
ー飴玉は持ってないの?
 飴玉?
ーそう、飴玉。
 涼しく感じてもまだまだ夏であることに変わりはない。
 だから水分補給のみならず塩分補給も必要だと。
ーまだその公園にいる?
 今来たばかりだから、もう少しは一休みしているよ。
ーだったらその公園の写真送ってよ。近かったら飴玉持って行ってあげる。
 ぼくは少し考えた。
 ははーん、写真の位置情報を頼りにここまで来るつもりだね。
ーもしもし、わたしすごい?
 鼻高々なきみが見えた気がした。
 確かに目の付け所はいいんだけど、どこでそんな知識仕入れたんだろう。
 いやいや、それよりうまくいくかなぁ。
ー大丈夫だって。だいじょうぶ。
 そう言って、きみは満面の笑顔のスタンプを送ってきた。

Written by ken1

2015/08/24 at 00:41

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #400

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ーもしもーしっ。浴衣好き?
 きみから唐突なLINEが入ってきた。
 好きか嫌いかと聞かれれば、そりぁ好きさ。
ーわたしの浴衣姿、見たい?
 おっいいねぇ。いつ拝めるのかな。
ーこれからジムで汗流すでしょ。そのあと部屋に戻ってからだから。
 いつの間にジムに通い出したんだ。
 それよりも浴衣ひとりで着れたんだっけ。
ーよーやくね。
 相変わらず知らない間にいろいろ始めてるものだ。
 いつもきみに会うたびに新鮮な気がするのは、そんなところがあるからかな。
ー今夜のわたしに乞うご期待っ。カメラもお忘れなく。
 どんな柄の浴衣なんだろう。
 髪の毛は上げてくるのかなぁ。うなじが見れるといいな。
 よこしまな気持ちに浸かりながら、ぼくはレンズの選択にとりかかる。
 撮り損じは許されないだろうな。
 あれ?ぼくは普段のシャツでいいのかなぁ。
 と言っても浴衣持ってないもんなぁ。
 でもどこに行くつもりなんだろう。
 それとも今夜のコースはこれからぼくが考えるのかな。
 うーむ、とりあえず考えておくか。
 とかなんとか、少しそわそわしだしたぼくがいる。
 毎回毎回きみと会うのは楽しいものだ。
 さてとカメラとレンズの組み合わせは決まった。
 そうだ、あの川沿いの土手を散歩して、その先の河川敷にあるレストランに行ってみよう。
 ここまで決めても落ち着かない。
 早く浴衣姿のきみに会いたいなぁ。

Written by ken1

2015/08/16 at 15:35

カテゴリー: kiss

最後の晴海の花火

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オリンピックの選手村になるらしい。去年が最後のはずだった。でも去年は天候不良で中止。そして今年を最後にしたらしい。第27回の東京湾大華火大会、今までありがとう。
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Written by ken1

2015/08/09 at 18:37

カテゴリー: photo

きみのもしもし #399

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 部屋のグリーンをひとつ減らした。
 いくつもある中で、どれを減らそうか悩んでいた。
 そして、今朝、これに決めた。
 一番長くこの部屋を満たしてくれていたこのグリーン。
 ちょっと感傷的にもなるけど、これに決めた。
ーもしもし。
 きみにとっては突然の話だよね。
 何があったんだろうって思うよね。
 でもきみは言葉を続けない。
 きっと敢えて続けないんだろうね。
 たぶんきみが何かの言葉を続けても、
 ぼくはうまく説明できる、
 そんなことはないと思うし、
 きみもそんな気がしているんだろう。
 そしてきみとぼくの間にさっきの「もしもし」がまだ浮かんでる。
ー気分転換だよ。少しグリーンが多すぎる。それだけだから。
 でもなぜそのグリーンなの。
 きみの思っていることがスクリーンから見える気がする。
 そうだよね。そう思うよね。
 だけどぼくはこのグリーンを減らすことにした。
 今までありがとう。
 そんな気持ちを込めて、きみと最初に買ったこのグリーンを写真に収めた。

Written by ken1

2015/08/09 at 18:33

カテゴリー: kiss

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