きみのもしもし #423
きみはカウンターから立ち上がり、一枚一枚ゆっくりと観て回る。
写真だけじゃなく、その下に書かれているキャプションにも目を向けて。
それぞれの人がそれぞれのストーリーを思い描けるように、
楽しい思い出の記憶がよみがえるように、
そんな思いを込めて写真一枚一枚にキャプションを考えてみた。
きみのどんな思い出がよみがえるんだろう。
あたたかい思い出がよみがえるといいな。
ぼくはカウンターに座ったまま、
少しドキドキしながらきみの横顔、きみの背中を見つめている。
端まで観終えたきみはまた逆方向に観始めた。
そして一往復するとぼくの横に立ち、目を細め、二枚の写真を指差した。
「もしもし、これとこれ、ください」
ぼくの写真展初日、きみは最初のお客様。
観に来てくれて、ありがとう。
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