風、空、きみ

talk to myself

Archive for 3月 2016

きみのもしもし #432

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 カフェのテーブルで、きみが本を読んでいる。
 ぼくは待ち合わせの時間に遅れたわけでもなく、
 きっときみはこの陽気を本と一緒に楽しむために早めに来たのだろう。
 そしてぼくはふと気づき席に着く。
「どうして横に座るの?」
「横というより隣の辺ね」
 何それって顔で、きみは本に戻る。
 うん、横顔もいい。
「いつの間にこんなにいい女になったの?」
 ストレートな言葉に、きみは少し呆れ顔。
「何も変わっていませんよ」
 いやいや、どうして。とても大人の香りがするよ。
「もしもし、春の陽気のせいじゃないの」
 またきみは本に戻る。
 きみの本を読むその佇まい。ぼくはとても嬉しくなってしまう。
 隣のぼくはちゃんとついていけてるかな。
 いや、今日は人の目なんて気にするのは無しにしよう。
 きみはきょとんと微笑み、本をテーブルに伏せた。

Written by ken1

2016/03/27 at 20:09

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #431

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何を聴いているの。
大好きな知り合いが大好きな曲だよ。
大好きだらけだね。
大好きな服に、大好きな珈琲、そして大好きな万年筆。
これは?
これは大好きな腕時計。
あれは?
大好きなカメラ。
この部屋の中で他に大好きなものは?
うーん、そうだなぁ。
もしもーし、とっても大好きな誰かを忘れてませんか。
そしてこの部屋にはロザリンダの瞳が流れ始めた。

Written by ken1

2016/03/20 at 15:57

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #430

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 きみを笑わせたい。
 きみに笑ってもらいたい。
 最近のきみを見ていて、素直にそう思った。
 作り笑いでもいいんだよ。
 硬い笑顔でもいいんだよ。
 まずはそこからだから。
 そうしていると、あるとき自然と笑っているからさ。
 満面の笑みじゃなくてもいいんだ。
 きみの口元に少しでも笑みが浮かべば、それで世界は安心できる。
ーもしもし。何か面白い話を聞かせてよ。
 うん、いいよ。
 そんなきみに今日はコーヒーではなくて、
 ホットチョコレートを入れてあげよう。
 きみの気持ちに優しさが生まれますように。

Written by ken1

2016/03/13 at 18:09

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #429

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 きみのこれからとぼくのこれからをお願いしようと、
 ぼくは太い鈴緒に手を伸ばし、
 神様にこれでもかと聞こえるくらいに大きく鈴を鳴らした。
 邪気を払い、神様にぼくの参拝を知らせる。
 合わせてぼくは自分の住所と名前も告げる。
 間違いなくぼくの願いとして神様に届くように。
 ぼくは神社にお参りするのが好きだ。
 境内の樹木がなんだかぼくをそっと見守ってくれている気がする。
 すると心が優しくなれる。
 そして神様にどうせだから無茶なお願いばかりをする。
 お願いが済むと巫女さんからおみくじを受け取り、少しだけ会話を楽しむ。
 またおみくじ引いちゃった。
ーもしもしぃ、どうしていつも一人で行くわけっ。
 どうしてだろうね。
 多分お参りしている時の表情を見られるのが気恥ずかしいからかなぁ。
 でも、いいじゃん、また大吉なんだからさ。
 きみはしょうがないわねと、へんちくりんなスタンプを送ってきた。

Written by ken1

2016/03/06 at 23:50

カテゴリー: kiss

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