きみのもしもし #435
「どこも壊れてないし、何も落ちてこなかったけど、ずっと寝れなかったの」
やっと連絡がついたきみの声は、やはり少し重たい気がした。
「ううん大丈夫よ。声が聞けて、わたしの方こそ安心したわ」
ほんの数日前にカフェで話をしていたのが、もうどれだけ前のことだったんだろうと、
勘違いをしてしまうほど、きみの声が遠くに聞こえた。
「早く帰ってもっと安心させたいんだけど。いいかな、もう少しだけこっちにいても」
何かあるんだね。
「こっちにいる友だちに会ってきたいの」
そうだね、顔を見るだけでもお互いに元気になるよね。
「わたしは元気。だからこの元気を分けてあげたいの」
いいことだね。でも連絡だけはもらえるかな。
「もちろんっ。1日一回はLINEするから」
きみの口からいつもの「もしもし」が出てこない。
やっぱり疲れているんだよね。
きみは「また明日ね」と言い残し電話を切った。
きみにいつもの「もしもし」が戻りますように。
きみが友だちと会えますように。
そしてみんなの愛する人の無事が確認できますように。
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