風、空、きみ

talk to myself

Archive for 5月 2016

1000人の写真展

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Written by ken1

2016/05/29 at 19:35

カテゴリー: photo

きみのもしもし #441

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 またひとつ展示会に写真を出した。
 どれにしようかと迷った挙句、候補を3点に絞り、でも決められなかった。
ーでも、決めたんでしょ。
 うん。
ーどうして悩んだの?
 観た人が幸せな気持ちになれないかもって思ったから。
ーどうして撮ったの?
 あのとき、数匹の仔猫を抱いていたその婦人と目が合ったんだ。
 婦人が仔猫を使って生計を立てているのは良くないことかも知れないけれど、
 何かできることはないかなって、
 世界がそれで幸せになることもないんだろうけど、
 もしかしたらあの仔猫たちには届かないのかも知れないけれど、
 もしかしたら届くのかも知れないし、
 そして何かに残しておきたいなって、
 気づいたら婦人に話しかけていて、
 婦人は頷いて、
 そしてシャッターを切ったんだ。
 そのあとに仔猫たちにと。
ーご婦人にお金を渡したのね。
 うん。
ーその写真を出すんだ。
ーもしもし。
 うん?
ー少なくともそのご婦人も仔猫もその日は幸せだったと思うよ。
 だといいな。
 ぼくはあの日のオペラ座界隈の様子を思い出していた。

Written by ken1

2016/05/29 at 19:18

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #440

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 そして今夜はドタキャンをした。
 動けないことはないんだけど。
 お店まで歩けることはできると思う。
 でも。
ーわかるわよ。お座敷だもの。腰には良くないでしょ。
 うん、ぼくもそう思う。
 たぶん帰れなくなるかな。
ータクシーでうちに来ればいいのよ。
 行っても何もできやしない。
ー何言ってんだか。もしもし、穴埋めはもっと高くつくわよ。
 物分りの良い言葉の向こうに、おしゃれに着飾っているきみが見える。
 やっと予約取れたのに、ほんとごめんね。
ー次回は来月より先かなぁ。
 きみは脅すように、でも笑ってくれた。

Written by ken1

2016/05/21 at 22:54

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #439

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ーよく出てこれたね。
ー呼びつけておいて、これだから。
ーこの時期忙しいでしょ。来れるって聞いて半信半疑だったから。
 きみも赤ワインをグラスで頼んだ。
 赤ワインだから、グラスが触れ合わないように互いに傾ける。
ーよほどのことでしょ、急に呼び出すなんて。
ーでも、わたしでよかったのかな。
ーわたしを呼び出してくれて、ありがとう、かな。
 きみはそれなりに間を空けながら、ぽつりぽつりと静かな空気を埋めてくれる。
「マスター、この曲かけてくれる?」
 マスターは黙って頷いて、ぼくのiPodを受け取ってくれた。
ー今年に入って何人めだろう。今日また一人、大好きな人がいなくなった。
 店内にPPMの曲が流れる。
ーもしもし。今夜は好きなだけ飲みなさい。
 ぼくの代わりなのか、きみが泣いていた。

Written by ken1

2016/05/15 at 23:12

カテゴリー: info

きみのもしもし #438

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 その人に会いに行った。
 テーブルの上に広げられたたくさんの懐かしい写真。
 写真に写ることが少なくても、集めるとこんなにもあるものなのかと、
 その人の顔を見ながら思った。
 釣りもやってたんですか。
 どんなに付き合いが長くても知らないことはあるもんだな、
 知らないことがまだまだ出てくるのかなと、
 その人の顔に聞いてみた。
 ずっとその人の顔を見ていたぼくにきみが聞いてくる。
「もしもし、これはあなた?」
 うん、出会ってすぐの頃のぼく、若いでしょ。
 ぼくは照れ笑いを浮かべ、またその人の顔を見る。
「でも、あなたと一緒に写ってる写真がないね」
 今となっては残念だけどね、
 どちらかが写真を撮っていたってことさ。
 そうですよね、とぼくは遺影のその人の顔に確認をする。
「じゃあこれはあなたのカメラに向かって笑っているのね」
 きみのその言葉を聞いて、なぜだか目頭が熱くなった。
 ぼくが写真を始めたルーツがここにあるのかも知れない。
 その人の笑っている顔を見て、そう思った。
 

Written by ken1

2016/05/08 at 19:53

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #437

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 この子は僕らの4倍の速さで生きているんだね。
「きっと感受性も4倍なんじゃないかな。うれしいとか、さみしいとか、ね」
 そばにいて欲しいとか、遊んで欲しいとかも?
「どうでしょうね。でも、わたしもそうよ」
 きみも4倍の感受性?
「もしもし?気づいてないのかなぁ。わたしは2倍くらい。」
 きみはぼくのひざもとの仔猫を撫でた。
「あなたと一緒にいたいって、いつもあなたの2倍くらいは思ってる。」
 きみの眼差しが「あなたはどうなの?」と聞いている。
 ぼくもひざもとの仔猫を撫でて、でも気づかないふりをする。

Written by ken1

2016/05/01 at 19:00

カテゴリー: kiss

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