きみのもしもし #448
覚えてたはずなのに。
ベッドで身体を横にしながら、考える。
夜中に喉が渇いて、目が覚めた。
ぼくの手に重なっているきみの手をそっと降ろし、キッチンに行った。
冷蔵庫の中のブリタのボトルから、よく冷えた水で喉を潤し、
そこで何かいいことを思いついた。
きみにとってとってもいいことが閃いた。
メモに取ろうかとちょっとだけ悩んで、
いつもだったらすぐに走り書きするのに、
こんなにいいことだ、忘れるはずないな、
とタカをくくって、ベッドに戻った。
だめだ、思い出せない。
ーもしもし、もう起きるの?
きみがまたぼくの手に手を重ねてくる。
きみの手はほんと柔らかい。
忘れてしまったことも忘れさせてくれる。
きみの寝息が聞こえる。
ぼくももう一回寝ようかな。
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