きみのもしもし #449
ーそろそろ部屋の整理は済んだかな。
どう見てもまだ散らかっているこの部屋のドアを開けて、
きみは笑っている。
クローゼットの中から天井からすべての壁紙を張り替え、
どうせだからとカーペットまでも張り替えた。
こんなにも大変だとは思わなかったよ。
ぼくは驚いた気持ちを正直にきみに伝えた。
ー物持ちがいいのも何かしらねぇ。
足元に転がっている懐かしい品々がきみの目を引く。
あぁそこいらに転がっているのは全部捨てるから。
そんなぼくの言い訳をスルーして、
きみはひとつ何かを手にした。
ーこれ、懐かしいね。
うん、懐かしいよ。でも。
ーいいよ。捨てても。
きみはそっとその品を下に置いた。
ーもしもし、手伝ってもいい?
おもちゃ箱みたいなこの部屋の整理には関わり合いたくないと
言っていたきみ。
あまりの断捨離に少し寂しさを感じたのかな。
ぼくの隣にきみはちょこんと座り、
転がっている品をひとつずつ手に取り始めた。
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