きみのもしもし #478
「何かかくしてるでしょっ」
相変わらず、きみの勘は鋭い。
隠してるわけじゃないんだけど、
もう少し黙っていようかなと。
「ふたりの間に内緒ごとはないよね」
内緒ごとはないんだけど、
だけどもう少しだけ。
寒い北風が吹く今月から、
梅が咲き、桜の蕾が目につき始める頃まで、
もう少しだから、
だからもう少しだけ知らせるのは後にしようと。
「何かあるでしょっ」
ほんの少しだけきみをおどろかそうと計画していたのに、
きみの勘は鋭い。
「もしもし」
だめだ。
計画変更。
観念したぼくの顔を確認して、
きみは笑っている。
あなたの負けねって目をして、
笑っている。
コメントを残す