きみのもしもし #481
「もしもし、やっぱりね」
「内緒にしてたのは、これね」
「もしもし、内緒にする意味、あったの?」
「ぜんぜん、意味なかったでしょっ」
「もしもし、聞いてる?」
矢継ぎ早にきみは言葉をならべる。
ぼくは悪びれもせず、
きみのもしもしの回数をカウントしてる。
きみも途中から笑ってる。
そんなふうにしてくれる、そんな力があるのかな。
午後の陽射しに包まれて、きみとぼくの前には、
一台の車が停まってる。
今年の春はこの車できみとの思い出をいくつも作ろう。
きみはディープブルーとホワイトのツートンの車に
名前をつけると言いだした。
良い兆候だ。
陽射しはきみとぼくと、そしてこの車にやさしく注いでいる。
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