Archive for 7月 2017
きみのもしもし #502
「ちゃんとやっていますか?」
念のためって断りを入れて、きみが聞いてくる。
やっているよ。安心していいよ。
「今まではひとりでいたからさ」
ひととのコミュニケーションのことを気にしているのかな。
「大勢の中にいると感じる孤独ってのもあるんだよ」
「ひとりの時に感じる孤独とは違う、コミュニケーションの中に感じるちょっと違った感じの孤独」
テーブルを挟んで、ふたり同時にコーヒーを口につける。
「もしもし、ちゃんとやっていますか?」
きみのもしもし #501
ー最近、らしさを押しつけてませんか?
今日は会わない、と言ってきたきみからのLINE。
らしさ?
ー「女性らしさ」「彼女らしさ」そしてあなたから見える「きみらしさ」
その「らしさ」か。何か言ったっけ。
ー「らしさ」を押しつけてたんだよ。気づいてなったでしょ。
知らず知らずって怖いね。
ー確かに「らしさ」も大切だと思います。
ーでもわたしは「自分らしさ」を大切にします。
ー周り視点ではなく、わたし視点。
なるほど。
ーもしもし、あなたもそうしてね。
ぼくは今自分がどうであるか、見つめ直してみることにした。
きみのもしもし #500
ーもしもし、とっても楽しめたようね、
朝、目覚めたら、メッセージがひとつ入っていた。
深夜のメッセージ。
後にも先にも、昨夜はこの一通。
心配性のきみにしては珍しい。
きっと、ずっと我慢して、
そして、想いを込めて送ってきて、
朝まで返事を待っていたんだろうね。
ぼくは大丈夫、
とっても懐かしいやつに会え、
思い出話に花を咲かせ、
たっぷり充電ができ、
ちゃんとホテルまでたどり着いたよ。
送り出してくれて、ありがとう。
メールでも1本入れればよかったね。
でもきみはは言うんだろうな。
そんなことは期待してないよって。
さてとシャワーを浴びて、
頭をスッキリさせたら、
きみにメッセージではなくて、
電話をしよう。
うん、そうしよう。
きみのもしもし #499
「ちっちゃかった頃に好きだったことはなぁに」
きみが覗き込むような視線で聞いてくる。
はたとぼくの動きは止まる。
何が好きだったんだろう。
何がぼくを笑顔にしてくれていたんだろう。
学校に入る前のぼくの記憶。
少しの間。
「おふくろの背中かなぁ」
きみがにっこりと微笑む。
「自転車の後ろに乗って、おふくろの背中に顔を押しつけるのが好きだったな」
そして、きみはゆっくりと頷く。
「いい思い出ね」
確かにね。
きみは声には出さずに「もしもーし」と口ずさむ。
そう言われて、ぼくは少しだけ照れた。
きみのもしもし #498
きみはいつも「今日もよい一日でありますように」とメッセージに添えてくる。
24:00直前だと「明日も」になるからか、日付が変わるまでメッセージは来ない。
日付が変わるのを待って「今日も」と添えてくる。
そんなきみの「今日も」を、ぼくが添え出して長い。
あるとき、大好きな先生から「今日も」に触れる返信をもらった。
「お互いに心をかけあうと言うのはすごいことだと思います。
そう、お互いのこと、自分の世界のことを祈りながら、
“今日もよい一日”を作ってください。」
その先生を慕う仲間と今月久しぶりに顔を合わせる。
先生がいてくれたらなと、
きみへのメッセージに「今日も」を添えながら思った。
ーもしもし、今日もいい一日だった?
うん、とてもいい一日だったよ。ありがとうね。