きみのもしもし #510
朝、目が覚めると泣いていた。
何か違う世界にいるみたいな、まだ目が覚めていないような、
そして、ものさみしい、冷んやりとした感じだった。
そのまま起き上がることもせず、天井を見つめていると、
右の頬を伝うものがあった。
冷んやりと感じたのはこれか。
頬を伝う涙。
ぼくは泣いているのか。
なぜ。
気持ちを整理するために、もう一度目を瞑った。
そして、どのくらい経ったのだろう。
今、誰かがぼくの頭を軽く叩いている。
それはそれは心地よい。
ーもっしもし。もっしもし。
頭を叩くリズムがそう言っている。
ーもっしもし。もっしもし。
ぼくは目を開けることはせず、
このままずっとこのリズムが続きますように、
そう願って、このリズムに身を任せた。
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