風、空、きみ

talk to myself

Archive for October 2017

きみのもしもし #515

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「どう、似合う?」
ーうん。
 肌寒い今日、きみが冬物のカーディガンを羽織って現れた。
「そうじゃないっ」
 きみは仁王様みたいな表情で腕を組む。
「いいセンスだね、とか何か褒め言葉を続けてよ」
 ぼくは少し考える。
ーいいセンスだね。
 きみは首を横に振る。
「しょうがないなぁ」
 そして苦笑い。
「たまには褒めてね」
 ほっとしてぼくは頷く。
「今だけ安心しないでよ」
 ぼくは頷き直す。
「もしもし、褒めあうっていいと思うのよねぇ」
 そうだね。
 自然に褒め合える仲っていいね。
 手始めにぼくらは互いに褒めあうゲームを始めた。

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Written by ken1

2017/10/29 at 18:52

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きみのもしもし #514

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「またすぐ会いたいと思う?」
 ぼくの前のシートに座っているきみが、
 立っているぼくに顔を近づけさせ、
 そっと耳打ちしてきた。
「またすぐ会いたいと思う?」
 お酒が回っているきみの頬はうっすらと赤く、
 そして潤んでいる瞳とその問いかけに、
 ぼくは照れてしまう。
「もしもし、わたしはね」
 そう言ってきみは立ち上がり、ぼくにシートを譲る。
 そうか、ここはきみの降りる駅だね。
 きみの代わりに座ったぼくに、
 きみは顔を近づけて、
「ずっとそう思える二人でいようね」
 きみは笑って電車を降りた。

Written by ken1

2017/10/22 at 20:04

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きみのもしもし #513

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 以前どこかで耳にした。

ーきみとの時間は永遠に続かない。
ーそれを忘れないように。

ーきみを抱きしめること。
ーぼくがきみに与えることができる唯一の宝物。

ーきみへの気持ちを伝えよう。
ー心を込めて。

 肌寒い小雨の中、写真展を観た帰り、
 ギャラリーに展示してあった、
 愛するものとのかけがえのない時間の記録、
 それらがジョージ・カーリンからのメールを思い出させた。

 そして今、それがきみに重なった。
 いつも聞き慣れているはずの、
 きみのもしもしに重なった。

Written by ken1

2017/10/15 at 18:29

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きみのもしもし #512

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「あなたに会おうと思えば、そう、あなたを見つけるのはとても簡単なの」
 きみは余裕の表情で、ぼくの向かいの椅子を引く。
 きみとの待ち合わせの時間まで、
 ぼくは約束とは別の店で本を読もうとしていた。
 少し広めのテーブルで、シンプルな内装と静かな音楽。
 そんなカフェ。
「あなたが好きそうなお店を考えれば、あなたに会える」
 きみはふふふと、
「それだけのことよ」
ーもしもし、とっても簡単なことなのよ。
 きみが自慢げに微笑んでいる。

Written by ken1

2017/10/09 at 08:23

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きみのもしもし #511

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 きみが「触って」と言ってきた。
 お風呂上がりの乾燥させた髪をぼくに近づける。
 きょとんとしているぼくの手を取り「どう?」と言う。
「さらさらでしょ。地肌もいい感じ」
 ぼくはまだ事態を飲み込めないでいる。
「洗面台の前に置いてあったの、使ったの」
 あぁあれか。
「使ってよかったんだよね」
 うん。
 ばたばたしてて、きみに伝え忘れていたね。
 頂きものだよ。
「ありがとう。合うの探してたんだ」
 きみは自分の髪を鼻先に持ってきて、香りも楽しんでいる。
「シャンプーってさ、合う合わないってとっても大事なの」
 そして、きみは頭ごとぼくに押し付け、
「触って触って」
 と、じゃれてくる。
 シャンプーひとつでこんなに会話が生まれるんだ。
「もしもし。明日さぁドライブしよっ」
 何だかぼくまでうれしくなった。

Written by ken1

2017/10/02 at 00:02

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