きみのもしもし #514
「またすぐ会いたいと思う?」
ぼくの前のシートに座っているきみが、
立っているぼくに顔を近づけさせ、
そっと耳打ちしてきた。
「またすぐ会いたいと思う?」
お酒が回っているきみの頬はうっすらと赤く、
そして潤んでいる瞳とその問いかけに、
ぼくは照れてしまう。
「もしもし、わたしはね」
そう言ってきみは立ち上がり、ぼくにシートを譲る。
そうか、ここはきみの降りる駅だね。
きみの代わりに座ったぼくに、
きみは顔を近づけて、
「ずっとそう思える二人でいようね」
きみは笑って電車を降りた。
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