きみのもしもし #515
「どう、似合う?」
ーうん。
肌寒い今日、きみが冬物のカーディガンを羽織って現れた。
「そうじゃないっ」
きみは仁王様みたいな表情で腕を組む。
「いいセンスだね、とか何か褒め言葉を続けてよ」
ぼくは少し考える。
ーいいセンスだね。
きみは首を横に振る。
「しょうがないなぁ」
そして苦笑い。
「たまには褒めてね」
ほっとしてぼくは頷く。
「今だけ安心しないでよ」
ぼくは頷き直す。
「もしもし、褒めあうっていいと思うのよねぇ」
そうだね。
自然に褒め合える仲っていいね。
手始めにぼくらは互いに褒めあうゲームを始めた。
コメントを残す