風、空、きみ

talk to myself

Archive for December 2017

きみのもしもし #524

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 きみから以前勧められた朝向きのアコースティックな曲をかけながら、
 きみのためにサラダを作る。ヨーグルトも取り分ける。
 ヨーグルトには柚子のジャムを少しだけ乗せる。
 きみが来たときはきみがぜんぶやってくれる。
 でも、今朝のぼくは早起きだ。
 そこでたまにはぼく。
 そういえば昨夜きみは胃が少し重いと言っていた。
 珈琲はどうしよう。
 少しだけ薄めにしておこう。
 きみが飲めなくてもぼくが飲めるし。
 今朝は窓ガラスの結露が青空を少し薄く見せる。
 どうりで寒いわけだ。
 暖房のダイヤルをもうひとひねりしよう。
ーもしもし、そろそろ起きましょう。
 いつものきみの台詞を口ずさんでみる。
 さてと準備はできた。
ー今年も一年ありがとう。来年もまたよろしく。
 忘れずに先に伝えなきゃ。
 きみとの一年がまた始まる。

Written by ken1

2017/12/30 at 18:05

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きみのもしもし #523

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 年賀状ソフトのバージョンアップに四苦八苦しているぼくを横目に、
 きみは涼しい顔で本を読んでいる。
ー早く準備してね。
 さっきの会話からそんな声が聞こえて来そう。

「もうね、絵柄は決めてあるの」
「まだ今年版にしてないぜ」
「さっきスマホで絵柄をチェックしたのよ」

 そしてページをめくる。
ーでもあわてなくていいのよ。
 きみはページのめくり方一つでぼくに思いを伝える。

「もしもし、読書はね」
 ぼくはMacから目を離し、きみを見る。
「読んだ本の厚みだけ、読んだ人の世界が広がるの」
「わたしこの本、読み終えちゃいたいから」
 きみはまた本に目を落とす。
 ぼくはまたバージョンアップに取りかかる。

Written by ken1

2017/12/24 at 19:38

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きみのもしもし #522

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「言っちゃおうかなぁ」
 きみが意味深に笑っている。
 言いたくて仕方ないオーラがきみを包んでいる。
 そこで軽く背中を押す、と言うか呼び水なのか。
 聞いたげるよ、と言ってみる。
「言わない」
 聞かせてください、じゃないと言わないそうだ。
「わたしね、勉強を始めたの」
 きみは何のために、いつまでに、そしてこうなりたいと
 目を輝かせて話してくれた。
 表情そのものもイキイキしている。
 ぼくはきみのオーラを見誤っていたようだね。
 言いたいオーラではなくて、目標に向かって歩き出している、
 そのオーラがきみから出ている。
「もしもし、これはね、あなたの影響よ」
 そしてぼくをうれしくしてくれる。
 今日はきみからとっても元気をもらった一日だった。

 

Written by ken1

2017/12/17 at 18:49

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きみのもしもし #521

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 今週も紅葉を観に行こうときみが言う。
 いいよ、どこで待ち合わせる?
 きみは答える、紅葉のあるその場所で、と。
 そしてぼくらはそれぞれにその場所に行き、
 スマホで思い思いに紅葉を狩り、SNSで送り合う。
 切り取った紅葉の数が一桁を超える頃、
 ぼくらは同じ木の前にいた。
 会えるもんだね。
「もちろんよ」
 陽射しは斜めになり、
 そのことは逆光の中、紅葉をますますきれいに観せてくれる。
 いい時間帯だ。
「もしもし、今日のお誘い、よかったでしょ」
 ちょっと鼻高々なきみがいる。
 きみも逆光の中、紅葉に溶け込んでいる。

Written by ken1

2017/12/10 at 18:54

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きみのもしもし #520

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 あなたは何もしてくれないと、きみがいう。
 食事の約束も、約束もわたしからだし、お店もわたしが探す。
 あなたは何もしてくれないと、きみは続ける。
 どんなに困っていても、アドバイスすらない。
 本当にあなたは何もしてくれないと、きみは腕を組む。
 少し間ができたようなので、ぼくは珈琲を入れる。
 豆はきみの好きなマンデリン。
ーもしもし。
 きみが組んだ腕を解く。
 うれしいのよ。
 ぼくは動きを止める。
 話を聞いてくれるだけでも、うれしいの。
 ぼくはきみに珈琲を差し出す。

Written by ken1

2017/12/03 at 18:26

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