きみのもしもし #527
クローゼットの中から、きみが見つけて来たもの。
それがまたきっかけのひとつとなった。
きみが見つけて来たものは、結局そのままきみに預けたけれど。
「なつかしいものを見つけたね」
「使わないとかわいそうでしょ」
きみはそう言って、それをぼくに差し出す。
「もしもし。最近、風景をブックマークしてる?」
しているつもりのぼく。
「なつかしいキャッチコピーだね」
「そうじゃない。以前はもっと枚数多かった気がします」
きみはそう言って、それをぐいと差し出す。
「これポケットに入れてた頃なんて、呆れるくらいに撮ってたじゃん」
言われてみれば、そうかも知れない。
いや、そのとおりだな。
「でも、その気にさせるいいキャッチコピーだったね」
そうだね。その気は大事だな。確かに毎日ブックマークしてた。
そして今ぼくは手持ちの小さなコンデジを毎日持ち歩く。
あの日、手のひらサイズのデジカメを手にしたときと同様に。
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