風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #527

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 クローゼットの中から、きみが見つけて来たもの。
 それがまたきっかけのひとつとなった。
 きみが見つけて来たものは、結局そのままきみに預けたけれど。

「なつかしいものを見つけたね」
「使わないとかわいそうでしょ」
 きみはそう言って、それをぼくに差し出す。
「もしもし。最近、風景をブックマークしてる?」
 しているつもりのぼく。
「なつかしいキャッチコピーだね」
「そうじゃない。以前はもっと枚数多かった気がします」
 きみはそう言って、それをぐいと差し出す。
「これポケットに入れてた頃なんて、呆れるくらいに撮ってたじゃん」
 言われてみれば、そうかも知れない。
 いや、そのとおりだな。
「でも、その気にさせるいいキャッチコピーだったね」
 そうだね。その気は大事だな。確かに毎日ブックマークしてた。

 そして今ぼくは手持ちの小さなコンデジを毎日持ち歩く。
 あの日、手のひらサイズのデジカメを手にしたときと同様に。

Written by ken1

2018/01/21 @ 20:46

カテゴリー: kiss

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